最初の転機

無気力怠惰な高校生活を送っていたある日、校舎に貼りだされていたアメリカへの留学生募集(期間10か月)というポスターに目をとめた。当時は、そんなことに応募するやつなんて変人扱いという感じだったので、「志望する理由」のような内容の応募書類だけだして合格した。

両親は、日本の高校を休学する必要があるということや金銭面の不安を口にしていたと今になって思うが、厄介払いという面もあり了解してくれた。

17歳の9月、私は米国カリフォルニア州に向かう機中に一人でいた。留学決定から渡航まで5か月間あったが、「くず」の私は全く準備せず、なんとかなるなんて思っていた。今まで、親からも周囲からもどん底まで突き落とされたことはなく、半端でいきてきた男なんてこの程度の考えしか持たなかった。色々苦労していないから自分が何をすべきかも知らず、自分の立ち位置を探る訓練を積んでこなかった人間の成れの果てであった。

その結果、留学ビザでありながら、ロスの空港のイミグレーションで入国審査官から質問されても全く何を言ってるのかわからない私は、4時間入国を許可されず、最初の洗礼を受けた。