私は、1980年の小学校にはいって数年した頃、初めて香港に行きました。当時、子供ながら寡黙で誰にもなつかない私を唯一可愛がってくれた叔父さんが仕事で香港へ行く時に一緒に連れて行ってくれた。
当時の香港は、今と全く違う雰囲気だったことを今でも覚えている。街は、汚く、物乞いであふれ、自分と同じぐらいの子供が私の服を握りしめながら手のひらを差し出してきたことは衝撃だった。特にアバディーンの水上レストラン周辺は煤だらけの親子であふれていた。また、現地の人が叔父さんと私を九龍城にも案内してくれた。
今から考えればミステリアスで猥雑という感じだったと思うが、思い出す光景は、真っ暗になりかけの薄暗い中に小さな光がポツポツと点いて、排せつ物のいりまじった匂いが充満しているといった感じだった。
他界した叔父さんが、なぜ小学生になって数年しかたっていない私を香港に連れて行ったのか、もはやわからない。ただ、今までの人生を考えると、大変な時、気持ちをリセットしたい時は、必ず東南アジア(ベトナム、インドネシア、タイ、カンボジア)のスラム街、市場(いちば)周辺で一日中時間をつぶしていた。ただ、目の前を通る人の動きやレッカーや車を眺めて、色んなことを想像するだけで、仕事への勇気・やる気が出てきた。
それでも当時の香港と同じ衝撃にはどこでも会えない。インドネシアのローカル地域、ベトナムと中国の国境、タイの地方都市、プノンペン、ヤンゴン、どこにもあの風景はない。
それでは、今の香港はどうか。猥雑さだけは残っている。ただ、それも地元の人たちが作り上げているといったものではなく、中国からの観光客が作り上げているもので、あまり惹かれる場所ではない。
そんな中、香港では、香港141というマンション置屋がある。あとは、KTV位か。恐らく、香港を夜遊びで訪れる人は、141かマカオか深圳に渡るくらいだろう。ただ、141も単なる抜いて終わりという風俗で、日本でいえば「新地」と何ら変わらない。
正直、この数年の香港。皆、何が楽しくて行くのだろうか(仕事以外で)?
買い物? セール時期以外は何のメリットも感じない。ただ、セール時期は、ルブタンやJIMMY CHOOやSHANGHAI TANGなどが格安で買える時も。
食事? 確かに高級から街角まで様々な価格帯で美味しいものはあるが、高級なものは日本より高い。よっぽど、ジャカルタのシャングリラホテルやオリエンタルホテル、バンコクのペニンシュラホテルの中華のほうが、半分以下の値段で旨いものが食べられる。では、街角の食事はと言えば、旨いけど、あえて飛行機代をかけてまで行く価値はないと思う。
夜景? 人それぞれ。上海のほうがよっぽど綺麗かと。
夜遊び? 魅力なし
それでもあなたは香港行きますか?
私は、多分、トランジット以外では二度と行かないかな。逮捕されそうな気もするし。