えっ、いきなり首?

チームは以前に記した通り、私を含めて10名で構成していた。そのチームでは、5つの業務を行っていたが、業務間の関連性は全くなかった。1つの業務を3人で行っている業務もあれば、1人で行っている業務もあった。全く関連性がない業務ではあったが、休暇や突発的出来事などへの備えのために、数週間はチーム内で最低限の業務をサポートできる体制がとられていた。

そこが突破口だった。普段からサポートする人たちは、所詮他のチームの業務だったので、教えることに何の躊躇もなかった。しかも最低限の基本業務を教えられていただけだったので、理解するのも難しいものではなかった。

その知識をたたき台として、アジア地域で同じ業務をやっている者とのミーティング、IT、Finance、内部監査室などからの情報を経て、それぞれの業務への理解度を高めていった。

そして、改めて、アジア地区の統括と部長と話をした。当初のミーティングから半年程経過していた。その時点で8割強位の業務は理解できていたと思った。

実情について、私から一通り説明した。

統括からは以下の話があった。

「そうですね、8割程度の理解で十分ではないですか。100%なんて期待してないです。残り2割はイレギュラーな業務として考えましょう。あと、○○さんの話を聞く限り、首にするのは、4人で良いですね。退職金の準備にはいりますので、1週間程度で本人達に通知できるように人事部と話を今日始めてください。また採用にもすぐ取り掛かって下さい。」

あっけなかった。9人のメンバーの半分近い人間が簡単に切られる世界。それも全てキーパーソンと言われている人を首にする。恐怖感さえ覚えたが、進言した張本人が俺だった。でも、彼らが完全に業務を抱えてしまっていることによる弊害が余りにも大きかった。チームのジュニアスタッフは今まで言わないまでも知っていた、彼らがチームのガンだということを。

正直、4人が抜けて、後任が決まるまではきつかった。でもジュニアスタッフは風通しが良くなったと喜んでくれて、耐えてくれた。 そんな中、次の事件が起きた。

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